雇用の安定よりも転職の自由を追求すべき、特定企業に縛られた「会社人間」としての生き方よりも「自由な職業人」としての生き方を追求すべき、といった議論が飛び交っている。もしそうだとすると、外部環境への対応だけではなく、人々の行動としてもまた、日本型雇用システムは、定着型から流動型への転換を迫られることになる。いま何を目標とすべきなのかもしそうだとしても、そのような議論は重要な事柄をあまりに簡単に見落としているのではないか。
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雇用の安定であれ、転職の自由であれ、それは二者択一的に扱われるものでしかないのか。会社人間であれ、自由な職業人であれ、その理解はあまりに皮相、あまりに一面的ではないか。これまでもそうであるように、そして今後も予想されるように、「事実」として転職や雇用の流動化がさらに進行することは間違いない。しかしここから「市場型」のシステムが自動的に生まれるわけではない。転職を促進するシステム、雇用の流動化を促進するシステム、これが「市場型」の雇用システムであったとしても、問題は、それが具体的にどのような制度を伴って形成されるのかということにある。